27歳・初めての恋が終わった日【前編】
—「わがまま」と「依存」のあいだで—
「……もう無理だと思う」
彼の声は、驚くほど静かだった。
怒鳴られることも、責められることもなかった。
だからこそ、その一言は胸の奥に深く刺さった。
27歳。人生で初めてできた彼氏。
付き合った期間、2年。
彼は私の「はじめて」を、いくつも知っている人だった。
初めての旅行。
初めてのケンカ。
初めての“寂しくて眠れない夜”。
「わがまますぎるよ」
「俺に依存しすぎてる」
「それが…正直、しんどい」
その言葉を聞いた瞬間、
反論したい気持ちと、否定できない自分が同時にいた。
(だって、好きだっただけなのに…)
⸻
彼がいなくなった部屋は、やけに広かった。
スマホを握っては、放置して。
LINEのトーク画面を開いては、閉じる。
「今日何してる?」
「今どこ?」
「なんで返信くれないの?」
付き合っていた頃の私の言葉が、
夜になると、ひとつずつ蘇ってくる。
——重かったよね。
——息苦しかったよね。
わかってた。
でも、止められなかった。
初めての恋だったから。
“彼がいなくなった自分”が、想像できなかったから。
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別れてから1週間。彼のSNSを、見てしまった。
仕事の投稿。
同僚との飲み会。
いつも通りの、彼。
(私だけが、止まってる)
そのとき、ふと胸に浮かんだ言葉があった。
「……もしかして、まだ嫌われてはいない?」
完全にブロックされたわけじゃない。
連絡先も消されていない。
ただ、連絡が “ない” だけ。
それは、希望なのか。
それとも、ただの未練なのか。
⸻
毎晩、ベッドの中で考える。
復縁したい。
でも、また同じことを繰り返したら?
会いたい。
でも、「変わってないね」って思われたら?
——それでも。
(今の私なら、あの頃とは違う気がする)
彼に依存していたのは、
彼を失うのが怖かったから。
でも今は、失ったあとで、ちゃんと立っている。
心の底から変わりたいって思っている。
まだ、泣くけど。
まだ、揺れるけど。
⸻
復縁の前に気づくべき “心のサイン”
・「寂しさ」を彼に埋めてもらおうとしていなかった?
・「好き」と「不安」を、混同していなかった?
・彼がいない時間、自分は空っぽになっていなかった?
復縁は、“戻ること” じゃない。
新しい関係を、もう一度始められるかどうか。
——その問いが、今の私を試している。
(続く)



