34歳社長、取引先の営業女子にモテたい
—スーツ姿の彼女に心を乱された午後—
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会社を立ち上げて、気づけば丸2年。
取引先も増えて、毎日が慌ただしく過ぎていく。
人と会うことは好きだし、営業トークも慣れている。
でも、仕事相手に「個人的な感情」を抱くなんて、正直考えたこともなかった。
——彼女に出会うまでは。
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初めて打ち合わせで担当についたのは、営業職の彼女。
きちんとまとめられた資料を差し出す指先。
真剣に説明する横顔。
それ以上に、ちょっと気が強そうで、でも照れると耳まで赤くなるギャップに、
不意を突かれた。
(……こんな女性もいるんだな)
気がついたら、次の打ち合わせが楽しみになっていた。
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「この資料、すごく丁寧に作ってくれたんですね。助かります」
ふつうの感謝のつもりだった。
でも彼女がわずかに頬を染めて視線を落とすのを見て、
胸の奥で何かがカチリと音を立てた。
(……可愛いな)
その瞬間、彼女は“取引先”から、“特別な存在”へと変わっていた。
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打ち合わせの帰り、思わず口にした。
「最近、仕事はどうですか?」
彼女は驚いたようにこちらを見て、慌てた返事をした。
それがおかしくて、自然と笑みがこぼれる。
「真面目に頑張る人、俺、すごく好きです」
……しまった。
社長として言うには、あまりに個人的すぎる言葉だった。
けれど、もう止められなかった。
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その後も会うたびに、彼女のことばかり目で追ってしまう。
少し髪をまとめてきた日。
声のトーンが柔らかい日。
資料の端に、彼女の気遣いが滲んでいるとき。
どれも、仕事以上に心を揺らしてくる。
そしてある日、思い切って言った。
「あの…今度食事でもどうですか?打ち合わせではなく、プライベートで——」
言葉を口にした瞬間、心臓が跳ねた。
彼女は驚いた顔をして、でもすぐに照れくさそうに頷いてくれた。
(よかった…もう、ただの“営業担当”なんて呼べないな)
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彼女に惹かれている証拠
① 仕事に“人柄”が見えるとき
→ 資料の中の工夫や、相手を思いやる一言。そこに心を奪われる。
② ふとした照れやドジを見たとき
→ 完璧に見える彼女が不意に見せる素の表情が、堪らなく愛しい。
③ 仕事以外の小さな話題
→ 「映画見ました」「週末は実家に」など、日常の言葉が、距離を縮めていく。
\彼女の笑顔が、俺の仕事を特別にする/
恋なんて、もう後回しでいいと思っていた。
でも、彼女と話すたびに「次に会いたい」と思ってしまう自分がいる。
取引先の一人じゃなく——ひとりの女性として。
次に会うとき、彼女にどう伝えればいいだろう。
その答えを探すのもまた、今の俺には心地よい宿題だ。



